システムがん

システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 (複合領域:4201)
研究期間:平成22年度~平成26年度
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A01-4-25 公募研究

腫瘍悪性化におけるゲノム進化機構の解析

  • 研究代表者: 石川 冬木(京都大学 大学院生命科学研究科 教授)
  • 連携研究者: 若林 雄一 (千葉県がんセンター研究所発がん研究グループ 室長)
  • 連携研究者: 榊原 康文 (慶応義塾大学理工学部 教授)

研究室ホームページ http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/fish/

近年、発がん過程において、腫瘍内に空間、時間にわたって複数の異なるゲノム変異をもったクローンが混在し、それらがポピュレーションダイナミクスを示すことが明らかとなっている。そのようなゲノム異質性の発がん過程に対する貢献を明らかにするためには、個々の腫瘍のクローンlineageについて、経時的にゲノム情報は観察する必要がある。特に、良性腫瘍が悪性化する過程は、初期には区別ができない複数のクローンの中から悪性化クローンが出現するので、複数クローンについてprospectiveに解析することが重要である。臨床材料ではこのような研究はおこなうことはできない。

DMBA (dimethylbenz(a)anthracene)とTPA (tetradecanoyl–phorbol-acetone) を用いたマウス皮膚扁平上皮がんの発がん実験では、マウス背部皮膚に1個体あたり約30個程度の乳糖腫(良性腫瘍)が出現し、その中の一部のものが扁平上皮がんに悪性化し、さらに、リンパ節等への転移を示す。 これらの腫瘍は直視下に進展するので、それぞれのクローンを追跡することが可能であり、一部の腫瘍を切除解析することで、semi-prospectiveな研究が可能である。

本研究では、マウス皮膚扁平上皮がん発がん実験を用いて、クローンの空間的および時間軸にわたるゲノム変異を解析し、悪性化の有無、その速度などのマクロな表現型との相関を観察する。そのような解析を通して、将来的には臨床的に悪性化速度を占うバイオマーカーの取得が期待できる。

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