A01-3 計画研究
研究室ホームページ http://dnagarden.hgc.jp/ja/
新学術領域「システムがん」は、がんの本態解明を目指した医学・生物学研究とスーパーコンピュータを用いた計算システム生物学を融合して、新たな学術領域を創造するものである。本研究計画は、大規模データ解析 (計算) と数理モデリング (シミュレーション) によりゲノム・エピゲノムからメタボロームまでを一気通貫にシステムとして理解・解析するための計算プラットフォームと方法論を、がん病態の解明とその臨床応用を目的とした各計画研究と共同して研究開発し、それによりがんシステム学を創成することを目的とする。これにより、現在のがん研究が直面している限界を超え、がん研究の水準を飛躍的に向上・強化させる。
申請者は、状態空間モデルやベイジアンネットワークなどを駆使した新たな数理モデリングの方法を開発し、ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータを活用して、予測能力をもった数千の分子のネットワーク (予測する地図) をデータから構築するための方法を開発・実用化してきた。さらに、分子ネットワーク推定、可視化・シミュレーションなどのデータ解析の流れをグラフィカルに自在に組み立てることができるソフトウェア Cancer integrative Pipeline (CanceriP)、パスウェイのモデリング・シミュレーションソフトウェア Cell Illustrator、上皮細胞から間葉細胞への細胞移行などに伴うシステムの変化を数万遺伝子からあぶり出す係数変動構造方程式モデルに基づいた Network Profiler などの生命システム解析技術を開発しており、ゲノム・エピゲノムからメタボロームまでをシステムとして統合的に解析可能とする技術を有している。この規模のスーパーコンピュータインフラと最先端の生命システム解析技術を有した研究グループは世界に類がない。これらの開発には、次世代スーパーコンピュータプロジェクト、特定領域研究「システム生命」、ゲノムネットワークプロジェクトの成果が用いられている。