システムがん

システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 (複合領域:4201)
研究期間:平成22年度~平成26年度
[English]

 

A02-2 計画研究

SNPアレイ解析に基づく癌の個性の理解と分子標的の探索

  • 研究代表者 小川 誠司 (東京大学 医学部附属病院 特任准教授)
  • 連携研究者: 真田 昌 (東京大学 医学部附属病院 特任助教)
  • 連携研究者: 松原 亜以子 (東京大学 医学部附属病院 特任研究員)
  • 連携研究者: 仲矢 丈雄 (東京大学 医学部附属病院 特任助教)
  • 連携研究者: 柳元 麻実子 (筑波大学 学大学院人間総合科学研究科 講師)
  • 連携研究者: 千葉 滋 (筑波大学 大学院人間総合科学研究科 教授)

研究室ホームページ http://www.genome.umin.jp/

がんはゲノムの変異に起因する疾患群であって、がんの病態・個性は、一義的には個々の腫瘍におけるゲノム変異によって規定される。ヒトゲノム計画の成果に代表される近年のヒトゲノムに関する知見の蓄積と、マイクロアレイ技術・高速リシーケンス技術を含むゲノム解析技術の革新的な進歩によって、今や我々は現実的なコストと労力でこうしたがんゲノムに生ずる変異の全体像を捕らえることが可能となりつつある。一方、このようにして同定される発がんに関わる遺伝子・ゲノムの変異・多型の数は急速に増加することが確実で、従来の分子生物学的手法のみによって、それらの変異の発がん過程における生物学的な意義を解明し、さらには多数の変異の総和によって規定されるがんの個性を理解することは現実的ではない。明らかに、従来の分子生物学的手法を補完し、代替するあらたな解析手法の創出が必要である。

本計画研究では、まず、6,000 検体のがん試料の SNP アレイ解析から得られるゲノムコピー数データに基いたクラスタリング解析により、代表的な癌腫のサブクラスタおよび主要な標的ゲノム領域を同定したのち、効率的な全エクソンリシーケンスによって、発がんに関わる遺伝子変異の網羅的な探索を行う。その上で、このようにして同定される多数の遺伝子変異・ゲノム変異(コピー数異常など)による発がん過程とがんの個性をシステムとして理解することを目的として、システム生物学を駆使したアプローチによりこれらの変異が関与する主要なパスウェイの推測・同定を試みる。

研究代表者は、高密度 SNP アレイによるがんゲノム異常の網羅的な解析とがんの責任遺伝子変異の同定において世界的に高い評価をうける実績を有しており、本研究提案は、過去 5 年間の研究によって蓄積された膨大ながん試料とその解析データに基づいて立案されたものである。本研究を通じて創出される新たながんゲノム研究の手法を通じて、がんの病態と個性の全体像に迫ることができると期待される。

過去の情報

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